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八ヶ岳横断トレイルランに出場

2013/10/16 1:46 に scorpion hscuc-vogel が投稿   [ 2013/10/21 2:13 に更新しました ]

総合成績10位、男女別成績も10位、年代別では3位でした

第1回大会となる本大会は、運営側の発表ではロング35kmの参加者が122名ということでした。決して多い人数ではありませんでしたが、大会開催の情報に集まったランナーは、海外のスペインや国内では兵庫県などの遠方からもあったということでした。着圧ウエアで有名なSKINSのカーフタイツを履き、Salomonのトレイルラン用のバックパックやシューズに身を包んだ選手が多い中、全身を着圧ウエアで包みほぼ空身という、いかにもトップを狙うスタイルの選手も相当数いました。 そんな中、下の3枚の写真がレース当日の私です。

NBのベアフットシューズ
シューズはニューバランスのMinimus Outdoor MT10。ソールはとても薄いが、重登山靴で採用されているVibram

レーススタイル
ウエアは上から、NIKEの蛍光色黄色が山や雑踏でもよく目立つランニングキャップ、某大型スポーツ店で購入したスポーツサングラスで日差しの強いときには必須、アシックスのノースリーブシャツ、Specializedロードバイク用アームウォーマ、ランニンググラブ、ニューバランスのランニングパンツ、Adidasの着圧タイツ

今回使用したバックパック
バックパックは、某スポーツショップオリジナル。500ミリリットルのペットボトルが下にアタッチメント出来る5リットル容量のもの。フィット感が抜群でお気に入り。今回はこのバックパックにチューブ入りハチミツ、大福餅、Meijiの即攻エナジー、そしてウィンドブレーカを。また外ポケットには熊避けの鈴とポカリスエット500ミリリットル、そして娘が用意してくれた必勝お守り!

トレイルランに魅了された訳

2009年3月に開催された第1回房総丘陵トレイルラン(当時は20km)への出場が私のトレイルランデビューでした。冬季の合宿オフになるWV部のいわば補強練習の一貫として元気・体力抜群だった生徒の野澤くんらと一緒に出場しました(なんとこの大会で野澤くんは高校生の部で優勝!)。それまでもこの当時は必ず部活動の一貫でハーフマラソンに出場するのが慣例でした。ただ野澤くんが在学中は、同期で主将だった久保くんらをはじめ部員の士気が高く、トレイルランへの出場もあったのでした。しかし、その後はしばらく仕事の忙しさなどを理由にして冬季オフ時の強化練習はなくなりました。
ところが、部活動とは別にたまたま昨年10月に千葉アクララインマラソンでのフルマラソン初出場をきっかけに、続く12月8日のみたけ山トレイルランレースに出場してからは、すっかりトレイルランの楽しさに魅せられ、今年の1月中旬からは継続的なランニングの練習を始めるようになりました。もっともこの年(今年)3月3日の房総丘陵トレイルランレース(30km)に向けた練習でもあったわけですが。元来高校、大学時代と登山をしてきた素養を含め、現在も仕事の一貫として山岳関係に携わる立場にある私にとっては山岳でのランニングレースの練習はとても楽しく、有意義なものなのです。
そもそも自身の身体をいじめることは嫌いでなく、気持ちと身体を追い込んでいける精神状態を確認できると、明日に対する活力が大いに沸き起こるという単純な構造を持つ人間であることが、40過ぎた頃から解り出しましたから、今のところ大きな迷いなく盤石に生活しています(笑、ほんとかな?)。
しかしこの話は、この章のタイトルから少しそれ出しています。実は、トレイルランに魅せられた理由はもっとフィジカルでシンプルなのです。そして、これは是非WV部の生徒を含め、多くの人に伝えていきたいことなのです。それはフォアフットランとの出会いです(またかよって思う人も多いでしょう)。

やっぱり人生、フォアフットラン!

私は冒述の通り父親からの影響もあり、高校生のころから登山を続け、大学時代はWV部で国内の山を歩きました。おそらくは元来関節や腱が強い体質ではないのに、肺活量や背柱筋の強さへの自負(あくまでも自負)があって同期や先輩・後輩には体力で負けない、負ける訳にはいかないという意地から無理を続けていたこともあったかと思いますが、大学3年生位の頃から故障が多くなり、特に左膝と右腰部の痛みについては慢性的でした。ですから練習のランニングも継続的(3、4週間)に毎日10kmであるとか、コンディションが良いからと強度を上げたりすると途端に鈍い痛みから始まり、最終的には日常生活支障が出る程度まで悪化するのが決まりでした。だから、気持ち的には積み上げて体力を付ける練習については諦めていました。その後も一時はロードバイクなら膝や腰への負担もないと信じ、それなりにのめり込んだりもしたのですが、やはり(私には)腰に悪かったようです。

そんな折に、上述の3月3日の房総丘陵トレイルラン出場後の頃、インターネット上で『Born to Run』という書籍の存在をしり、それを調べていく内にフォアフットランという走法理論に行き着きました。私なりに身に付けていたこれまでの走法理論を根底からひっくり返す内容でした。すぐに実践しました。それは教科書の通りで、しばらくはカーフの張りとの戦いでしたが、骨盤を起こす(というよりも、むしろ当初は前に倒す)ことで重心を膝の上に置く走法は、膝や腰への負担を軽微にし、自分に適したストライドを手に入れることで早い走力を身に付けることができることを実感しました。毎日走っても、膝や腰の痛みはほぼなく、不定期な20kmオーバーのロングランを織り交ぜながら月によっては月間250〜300kmもある中で、大きな故障無しでの半年を向かえての今回のレース、それと成績でした。


八ヶ岳横断トレイル35kmコースマップ

上が大会要項に記載されたコースマップです。南八ヶ岳横断登山道を利用した往復35kmのトレイルランです。横断とは言いますが、個人的にはアップダウンが多く続く厳しいコースでした。また、各関門もどちらかといえば厳しめな設定時間になっているような気がしました。

いよいよ現地に向け出発

会場となる八ヶ岳の雄姿
中央自動車道から眺める南八ヶ岳

遠望富士山
Sunmeadowsの駐車場から望む明峰・富士山

明峰・赤岳
Sunmeadowsのレストラン裏手に広がる八ヶ岳の眺望

この連休は大変天気が良く、行楽日和でしたから中央自動車道は高井戸IC辺りから大月IC先まで混雑してました(帰りはもっとひどい渋滞でした)。須玉IC近くからは上の1枚目の写真のとおり、会場となる八ヶ岳が綺麗に眺望できました。続く2枚はSunmeadowsからの眺望です。とにかく綺麗でした。

開会式と前夜祭

実行委員長のご挨拶
今回のトレイルラン実行委員長からのご挨拶です。とても感じの良い紳士でした

宮地選手のコース説明
今回のコースを監修されたと思われるトレイルランナーの宮地 藤雄選手。コース説明と大会諸注意を頂きました。とても気さくな感じの方で、説明も適切で分かりやすかったです

赤ワイン
前夜祭でしたから、こんな赤いヤツが出ていました

地酒
それから大好物なコイツも…。ちょっとだけのつもりで手を出したのに…(反省)。 とてもおいしかったです(笑)

和太鼓
地元和太鼓の会の方からのイベントもありました。低音でお尻の下から響き上がる振動が迫力でした

レースまでの日々、恵まれた職場環境

職場には陸上部の顧問をはじめ、その部員がおり、コンディション作りやモチベーションが落ち込んだ時などよく相談させてもらいました。特に顧問との会話からは新たなモチベーションを頂くことが多くあり、また部員に同じくフォアフットランを実践する者がいて、彼とちょっとした会話をするだけで気持ちがすごく前向きになれることも実感していました。何よりそこには同じような競技を通す人間の分かち合いがあり、会話する楽しさがありました(もちろんWV部の原点もそこにあるのです)。

そして何と職場には日本ランキング入りする現役のハードルのレーサーの方もおり、その方からは特に重心移動を中心とした走法の基本理論と補強トレーニング、そしてレースまでの練習の強度レベルの設定方法などの指南を得ることができました。もちろん彼女は現役レーサーですから私より全然若いですが、ある時期足底分の痛みで医者からはランニングを止められるというフラストレーションの中で、その彼女からランナーは多かれ少なかれある程度の故障と向き合いながら、練習を続ける(続けなければならない)試練を経験するものであるとか、メンタル面で多くのことを学べたことにとても感謝しています。そういった意味で本当に職場環境に恵まれているのです。


レースを終えて

今回のコースはスタートからゴールまで中継を挟んでの往復でしたから、幸いなことに復路ですれ違う選手の人数から自分の現在の順位の確認ができました。スタート時点から前の方に場所を陣取っていたのですが、唐突に迷いがよぎりスタート直前に靴紐を締め直ている内に、30秒前の合図と共に選手がグッと前に移動し、結果5列辺りまで下がってしまいました。号砲と同時に前に出ようと試みましたが、簡単には前に出してもらえず、スタートから7.5km先にある最初のエイドステーションまでに何とか頑張って抜くのが精一杯で、その後は復路のすれ違いまで先を行く選手の後ろ姿を確認することが出きませんでした。また、中継地点にたどり着くまでの間、私のすぐ背後には2名の選手が追従していました。ここで抜かれる訳には行かないと喉から出かかる心臓を押し込みながら前を抑えていました。やがて中継地点まで3km程になると背後の2名の足音が聞こえない距離に離れ、やがて先を行く復路に入った選手とすれ違い出しました。ボーッとする頭の中で漠然と数えた人数は10人をわずかに切っているように感じました。当然ながらモチベーションは上がりました。復路に入り、確か2度目の谷に降りてからの登り返しで、先を行く最初の選手の後ろ姿を確認、そして間もなく前に出ることができました。その後も間もなくもう一人の先を行く選手に追い付き、なんとか復路で2名を抜くことができました。頭の中では8位でした。欲が出てきて、あともう一人の後ろ姿をと思いつつも、後ろからの新たな刺客(?)の存在に脅かされながら足を緩めることを許さないように走り(時に歩き)続けました。

結局ゴール前の最後のロードの直線の登りでもう一人先を行く選手の後ろ姿を確認して、そのままゴールでした。結果は数え違いもあって冒頭のとおり総合で10位でした。この3月からフォアフットランを信じ続けて練習し、時間を惜しんで職場まで汗ダラダラで走り通い、職場の人目もはばからずにそのまま自席に行くという横行を繰り返してきましたが、なんとか結果を残す一歩になったように感じています。

さぁー、これからです。部員のみんなも一緒にランをはじめよう!究極的には自分を助けるのは強い精神と強い体力、そしてそこで培った強靭な免疫力(いやに生々しい)です。クライミングと登山の世界観は「為せば成る」です。しかし、始め出した当初や過渡期にはそれが成り立たないのです。そこで諦めずに継続する鍛錬がいずれ実を結び、究極的には「成せば成る」の絶対方程式を導きます。そう、要は実践あるのみです。諦めずやろう!

総合10位(年代別3位)
ゴール後に提供頂いた温かいポトフスープ鍋の前で

八ヶ岳の主峰・赤岳をバックに
不動に見届けていてくれた八ヶ岳の主峰・赤岳といっしょに!